金属3Dプリンターにおけるリーコター(リコーティング)とは

金属3Dプリンター(粉末積層造形法)ではメーカーに限らず必ずリコーターによるリコーティングという動作が入ります。

これは金属粉末のバッファ(ディスペンサー)から金属粉末を造形ステージへ均一に敷き詰める機構(リコーター)とその動作(リコーティング)の事を指しています。

金属3Dプリンター構造1写真を見ますと右がディスペンサー(バッファ)になっていますので、そこから金属の粉末を必要量とプラスアルファーを持って左へと移動します。余った金属粉末はコレクターという場所に入ります。メーカーによりコンセプトが違いリコーティング(動作)の仕方は多少異なりますが、基本的な部分は何も変わりません。 “金属3Dプリンターにおけるリーコター(リコーティング)とは” の続きを読む

スパッタとは

「ヒューム」と間違う場合がありますがよく似た現象として「スパッタ」というものがあります。

金属3Dプリンターでは多く確認でいる現象ではありません。「ヒューム」か「スパッタ」か悩むくらいの微粒子程度です。

「スパッタ」とは溶接中に飛散するや金属粒のことで、一般に溶接では品質の妨げになると言われています。

金属3Dプリンターでも最適なエネルギーで溶融しなければ「スパッタ」現象が起きる場合があります。最適なパラメーターを作成する必要があります。もし適当なパラメーターで造形をしてしまうと「スパッタ」が製品内部に入っていたり、金属3Dプリンター自体が停止してしまう場合があります。(ひっかかりが原因)

弊社で使用する設備では確認できておりませんが、他の金属3Dプリンターでの事象としては確認しています。

金属3Dプリンターにおいて「スパッタ」が発生するようになったら、レーザーやレンズ。パラメーターを確認する必要があります。

パウダーベット方式の金属3Dプリンター
パウダーベット方式の金属3Dプリンター

 

ヒュームとは

金属3Dプリンターでは溶接と同じ言葉が使われる事があります。その1つが「ヒューム」と言われる言葉です。

「ヒューム」とは溶融時に発生した金属蒸気が凝集して微細な粒子となったものを指しています。EOS機ではヒュームを回収する空気の流れがチャンバー内にありますが、この流れがない場合はレーザーのレンズに付着し曇りの原因となります。レンズが曇るとレーザーが乱反射・・または出力不足になる事があります。

「ヒューム」は,粒径0.1マイクロメートル(μm)[0.0001mm]程度の粒子が鎖状につながり,チャンバー内に浮遊しますのでレーザーのレンズはこま目にアルコールを含ませた柔らかい布などで清掃をする必要があります。

また、「ヒューム」の回収装置(集塵機)にはフィルターがついており、それを交換する際は爆発する危険性が高いため金属3Dプリンター独特の安全教育を受ける必要があります。

「ヒューム」は人体に対して有毒であると粉じん障害防止規則に規定されています。金属3Dプリンターでは「ヒューム」はチャンバー内で起こる現象ではありますが、作業する上では「じん肺」を防ぐ為にも防じんマスクの着用が義務づけられています。

ヒューム

 

3次元水管とは?

図2最近ダイカスト金型や樹脂金型の中に3次元水管を配置する技術が注目されています。

3次元水管とは、左図のように自由に水管を配置する事が出来る技術の事を指します。この技術を使った金型は成形サイクルタイムを短くする事ができます。熱溜まりがあった部分に水管を通す事が出来るようになったので均一に冷却が出来るようになったことが大きいようです。

しかし、3次元水管の設計は簡単ではないのがデメリットでもあります。本当の狙いの効果を出すまではトライ&エラーが数回かかりますが、ノウハウが溜まってしまえば後は他の金型にも応用できます。CAE解析と実評価で擦り合わせを行えばより精度が上がってきます。

金属3Dプリンターで造形できる3次元水管の径は1mm以上6mm以下が望ましいと考えております。6mmより大きい水管が欲しい場合は「長穴形状」をご提案させて頂きます。

またあまり複雑な形状の水管を入れてしまうと造形後に中の金属粉末が抜けない可能性がありますので、出来るだけシンプルに設計する事が大事になります。またダイカスト金型の場合、あまり長い水管を入れてしまうと最終的には「沸騰」した水になる可能性があります。何系統かの水管を入れる事が望ましいと思います。

2

積層ピッチとは

3Dプリンターの話の中には「積層ピッチ」という言葉が頻繁に出てきます。この言葉は樹脂の3Dプリンターでも金属の3Dプリンターでも使われます。

一言で言ってしまえば「積層厚み」の事をさしています。

987皆様がよく見る病院での「CT画像」は3Dプリンターにおける「スライスデーター」というものになります。

このスライスデーターを3Dモデルから何ミリでスライスするかによって3Dプリンターでは何ミリで積層していくか・・という事になります。

当然の事ですがこの「積層ピッチ」が細かければ細かいほど形状再現性は高くなります。しかし、時間もかかります。

また技術的な問題がある場合もあり、あまり細かくする事も出来ません。製品の特性によって「積層ピッチ」は変化しますし材質による場合もあります。

金属3Dプリンターでは「熱伝導性」を考慮したりする場合も多いので単純に「積層ピッチ」を変更するのは望ましくありません。もし変更する場合はレーザーの速度や出力に至るまで「積層ピッチ」ごとの調整をする必要がありますし、金属粉末の粒径も変更しなければなりません。

弊社では4種類の金属を3Dプリントしておりますが、チタン64では0.03mm、インコネル718では0.04mm、アルミニウムでは0.03mm、マルエージング鋼では0.05mmという「固定積層ピッチ」として造形をしております。

 

造形姿勢とは

金属3Dプリンターにおいて「造形姿勢」というのは最も大事になります。読んで時のごとく造形をする姿勢の事を指しています。この「造形姿勢」によって製品の出来映え、サポート除去時間が大幅に変わってきます。

造形姿勢は造形前に決定し、そのデーターに基づいて造形時間を算出し体積と合わせて見積り回答をさせて頂くようになっています。形状の維持、精度、を考え造形姿勢を考えます。

例えば下記の図のようなケースが考えられます。

造形姿勢

単純な板を造形しようとした場合、図のような造形姿勢が考えられます。左の図では通常に寝かせて造形すれば積層回数が少なく済みますので造形時間は早くなります。しかし、熱量の差が一番大きく出る形状なので歪みが発生しやすい造形姿勢と言えます。真ん中の姿勢では、立てて造形をする場合です。歪みはすくなて済む姿勢ですが、積層回数が増えてしまうため時間がかかります。時間がかかれば価格も高くなってしまいます。右の図ではその中間にあたる斜めの造形になります。形状を維持する為のサポート材が必要となりますし、斜めにしたことにより階段のような模様が出来上がります。

このような事から、品質、価格、精度に大きく影響します。

同じ金属3Dプリンターを使用しても同じように出来上がらないのはこのあたりのノウハウが必要になるからです。

スクリーンショット 2015-05-21 10.57.28

サポート材とは

3Dプリンターにはサポート材といわれる副材がつく事が殆どです。金属3Dプリンターでも同じ事で立体造形をするにあたって「オーバーハング部」や宙に浮いてしまうような形状は支える必要があります。

この支えの事を「サポート材」と呼んでいます。

下記の図をご覧下さい。

サポート材

傘の柄のような物を造形しようとすれば、なんの支えもないところに金属を作ろうとします。金属粉末にレーザーを当てれば溶けて固まりますが、支えのないところでは表面張力が発生し溶けた金属は丸くなってしまいます。そこに新たな層の粉を敷けばその丸くなった金属は流れてしまったり、下の粉に潜り込んでしまいますのでそのまま継続してもまともに金属の層を積み上げる事は出来ません。なのでサポート材を付け正しく層を積み上げるようにするのです。

また熱歪みによって造形品の形状が保てませんので、サポート材で形状維持をしています。その場合当然サポート材を除去すれば残留応力によって歪みが発生しますので、除去前にアニール処理で残留応力を解放する必要があります。サポート材は同じ材質で生成されていますので、除去は工具を使用します。

足

ラティス構造とは

「ラティス」という言葉はよく園芸等で使用するフェンスを想像するかと思います。元々の意味は「格子」という事になります。金属3Dプリンターにおいても同じ意味で使用します。

金属3Dプリンターでは3Dモデルをスライスデーターと言われる2次元のデータに落とし込み一層一層積み重ねる仕組みになっておりますので、金属の構造体の中に「ラティス」を挿入する事で強度が高まったり、軽量化が出来たりします。 また医療分野では骨再生を促す構造としても注目が集まっています。

機械加工では不可能に近い構造になりますので、「ラティス構造」と言えば金属3Dプリンターで製作したほうが良いとされます。

しかし、自由なラティス形状を作れる訳ではなく、一定の金属造形ルールの中での枠組みになります。例としてはラティスの線は0.5mm以上は欲しいですし隙間も0,8mm以上ないと厳しかったり、最終的には金属粉末を取り出す穴も必要です。

これらを駆使して頂ければ軽量化も、強度UPも実現できるかと思います。しかし、問題は通常のCADでラティス構造を作るのは大変です。

ラティスを作る専用CADソフトなどもありますので、それらを使用する事をお勧め致します。

【ラティスを製作できるCADソフト】

Materialise 3-matic   Light weight Structureモジュール 

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粉末積層造形法とは

粉末積層造形法は、粉末にした材料にレーザー(ビーム)やバインダー(接着成分)を用いて1層づつ固めて造形させていく方法です。微細な粉末材料を造形テーブル(ステージ)上に1層分敷きそれぞれの方法で固め造形し、また更にその上に次の層を造形していき、立体を得るという造形方法です。機種にもよりますが、樹脂や金属、石膏などの材料も粉末積層造形法使用しており、造形スピードとコストパフォーマンスに優れた造形手法です。

弊社の場合ですが、金属も樹脂も粉末積層造形法を使用しています。材料により積層厚みはバラバラです。金属ですとマルエージング鋼の積層厚みは0.05mm。インコネル718は0.04mm。アルミニウム、チタン64は0.03mmとなっていますし、樹脂ですとPA2200、PA3200 GAともに0.1mmになります。積層厚みが細かければ細かいほど時間がかかります。

粉末積層造形法に限った話ではないですが、斜めの形状は正確に言えば階段のような積層跡が残ります。緩やかであればあるほど顕著になりますので注意が必要です。

金属の粉末積層造形法で使用する金属粉は「ガスアトマイズ法」で作られる事が殆どです。「ガスアトマイズ法」で作られた金属粉は製造過程において表面張力で球状になります。粉末積層造形法では球状の粉末でなければ流動性が悪くなるため均一に粉末を敷き詰める事が出来なくなります。

また、粉末積層造形法では湿度も嫌いますので、造形環境には配慮が必要になります。

緩やかな斜め形状での階段現象
緩やかな斜め形状での階段現象

 

コンタミとは

IMG_1062通常の金属加工では「コンタミ」という言葉を使う事はありませんが、金属3Dプリンターの業界の中では頻繁に出てくる言葉です。

コンタミとは「コンタミネーション」の略語になっていますが、金属3Dプリンターでは「不純物が混ざる」という事を意味しています。金属3Dプリンターで使用する粉末材料は20μmピークの粒径を使用しています。金属3Dプリンターで何種類かの金属を使い造形する場合、一部の粉が別の粉末に混ざってしまう現象の事を「コンタミ」と言っています。

例えば、マルエージング鋼の造形後にチタン64を造形したい場合、マルエージング鋼の中にチタンの成分が混じってしまうという事です。このような「コンタミ」を防ぐ為には徹底的なチャンバー内部の清掃が必要となります。

徹底的というのは、機械をバラして拭き上げる。という事です。弊社でもそうですが、金属の入れ替えがある場合は丸一日かけてチャンバー内部を清掃し「コンタミ」を防がなければなりません。出来れば金属1種類につき金属3Dプリンター1台が望ましく、特にアルミニウムの造形をするプリンターは素材の比重が軽い為に清掃しきれない可能性もありますので、必ず専用機として使用した方が良いです。

「コンタミ」が発生すれば主原料とは違う物質が混ざるという事で本来の強度が出ない事もありますので、金属3Dプリンターにおいては非常に重要です。

清掃の様子は下記動画でご覧下さい。