金属3Dプリンターにおけるサポート材の苦労

樹脂と同様金属3Dプリンターにもサポート材が付きます。しかし、樹脂とは違い簡単に取れないのが金属3Dプリンターでの難点と言えます。

造型自体はそんなに難しい事ではないですが、サポート材の取り外しのやり方や時間はノウハウが必要になってきます。

うっかり削りすぎてしまえば製品に傷が入りますし、強力にむしり取れば製品が割れてしまう場合もあります。 “金属3Dプリンターにおけるサポート材の苦労” の続きを読む

金属3Dプリンターのサポート材付着例1

金属でも3Dプリンターで造形するものにはサポート材が付着します。付着についてはこちら→http://j3d.jp/?p=4414

色々なケースがあるので、少しずつですがサポート材の付き方を公開して行きたいと思います。

スクリーンショット 2015-06-18 09.42.58サポート材はオーバーハングしている部分や、角度が45°を割る部分には付着します。場合によっては付けなくてもいい場合もありますが、基本的には全て付いてしまいます。

このサポート材の付着によって造形の可否が決まることも少なくありません。 “金属3Dプリンターのサポート材付着例1” の続きを読む

金属3Dプリンターにはルールやノウハウが存在していた!

サポート材とは

展示会やテレビ等では金属3Dプリンター造形品の出来上がったものしか見る事ができません。よって、あたかも何でも出来上がってしまうように錯覚してしまいますが、金属3Dプリンターには樹脂と同様サポート材と言われるものを付ける必要があります。

IMG_1045樹脂でこのようなフィギアを作る事が可能でも、金属で同じものを作ろうとすると大変な事になります。それがサポート材の存在になります。写真を見ながら想像して頂きたいのですが、このモデルの耳が宙に浮いている事がわかります。この浮いている部分には支えが必要となります。金属3Dプリンターでもこの宙に浮いてしまっている部分にサポート材を付けるのですが非常に厄介な物になります。 “金属3Dプリンターにはルールやノウハウが存在していた!” の続きを読む

サポート材除去のかんどころ

金属3Dプリンターで一番大変なのがサポート除去という工程になります。なんでサポート材は同じ金属で生成される為当然のように硬いからです。樹脂の3Dプリンターのようには行かないのです。

そんなサポート除去・・実は弊社では女性が行っているんです。しかも握力もさほどない小さな女性です。

金属3Dプリンター受託造形サービスを始めた当初は、私もサポート除去をしていましたが握力が必要だと感じていました。

しかし・・彼女に聞いてみると、実はある方法を使えば力がなくともサポート材を除去できるのだと教えた頂きました。自社のサポート材工程なのに私が知らないのはお恥ずかしい話ですが、人間というものはいかに楽に早く・・ということを自然に考えるんですね。

金属3Dプリンターのノウハウの中に、造形ノウハウやサポート設計ノウハウがありますが、このサポート材除去ノウハウも本当に職人仕事と同じくらいあノウハウが必要になりますのでこれから金属造形を始めようと思っていらっしゃる企業様には是非知っていて頂きたいと思います。

来年には新たなサポート除去人員を設けます。サポート除去を極めてこそ金属3Dプリンター造形品ですので、「早く奇麗」にを追求してこの業界で1番になれるよう努力致します。

複雑困難な金属3Dプリンター造形

複雑困難な造形が増え始めてきています。

複雑困難な造形ってどんなもの??と思うでしょうがこればかりは造形をしている方にしかわからない事になります。

今回色々と難しいのは中空形状になります。以前からサポート材の難しさや造形姿勢などの考え方等お伝えしてきましたが、今苦しんでいるのはどのような造形姿勢をとってもサポート材を付けなくてはならない事です。

中空形状にサポート材を付けてしまうと後から取ることが出来なくなるので付けられませんが、付けないと崩れてします。

さて・・このような場合どうすれば良いのか・・毎日議論が続きます。

このような難しい形状は特別な物ではありません。むしろその方が多いのかもしれません。

これらをクリアするには多くの議論とチャレンジをしなければなりません。しかし、これらをクリアしていければ更にノウハウが高まり他社では真似できない独自の技術として積み重ねられるのです。

金属3Dプリンター造形ではこのように敢えてチャレンジする事が大事になってくるのだと実感します。

出来ない理由を並べる前に、出来るように考える。

少しずつしか進まない事ですがチャレンジを辞めない企業でありたいと思います。

 

サポート材のノウハウ

金属3Dプリンターでの造形をする際のサポート材のノウハウというのはそのビューローの命とも言えます。

先日工場でオペレーターと話をしながら造形品を見ていたら、以前あまり奇麗に出来なかった形状がとても奇麗に出来ていたので思わずサポート材の付け方について聞いてみたところ・・思いもよらない答えが返ってきました。そもそも私が質問するのはおかしな話ですが・・オペレーター達の間では失敗から学んだ跡がしっかりと刻まれている事がわかりました。

サポート材の付け方については講演やセミナー等でもお話はさせて頂いておりますが、基本的な事です。それでもうまくいかない場合が殆どで毎日が勝負です。

サポート材はただ付ければ良い物ではありません。熱を逃がしたり、歪みを押さえ込んだり、支えたりと色々な役割があります。しかし、後に除去しなければならないのでたくさんは付けたくありません。

それらをどう考え、またどう除去させるかまで考えなくてはならないのです。

まずは造形品がいかに奇麗に仕上がるかを考えてみましょう。

造形途中では固められた金属が膨張する事があります。膨張すると金属粉末を敷き詰める工程で設備が停まってしまう事があります。一旦停止すると収縮が始まり奇麗に造形できない事があります。ということは・・停まらない工夫が必要なのです。サポート材を多く付けるとそれだけたくさんの面積の負荷を受け止めなくてはならない事があります。特に停止しそうな箇所というのが存在します。厚肉から薄肉へ変わっていく際などはかなりリスクが高いです。そこを止めない工夫が必要だと言う事です。

次に歪みを抑える工夫です。レーザーを熱源としている以上残留応力の発生は避けられませんが造形中にそれが発生してしまうと品質に大きく影響します。だからこそしっかりとしたサポート材を付けたいところです。この残留応力を強制的に抑え込むサポート材の付け方にはタダ単に付けるのでは無理がでてきます。色々な工夫をしなければこれを乗り切る事は出来ません。

残念ながら詳しいお話は出来ないのですが、サポート材のノウハウって・・本当にすごい!

年始から自社のサポート材のノウハウに関心させられてしまうという失態をしてしまいましたが・・

サイド3

造形姿勢とは

金属3Dプリンターにおいて「造形姿勢」というのは最も大事になります。読んで時のごとく造形をする姿勢の事を指しています。この「造形姿勢」によって製品の出来映え、サポート除去時間が大幅に変わってきます。

造形姿勢は造形前に決定し、そのデーターに基づいて造形時間を算出し体積と合わせて見積り回答をさせて頂くようになっています。形状の維持、精度、を考え造形姿勢を考えます。

例えば下記の図のようなケースが考えられます。

造形姿勢

単純な板を造形しようとした場合、図のような造形姿勢が考えられます。左の図では通常に寝かせて造形すれば積層回数が少なく済みますので造形時間は早くなります。しかし、熱量の差が一番大きく出る形状なので歪みが発生しやすい造形姿勢と言えます。真ん中の姿勢では、立てて造形をする場合です。歪みはすくなて済む姿勢ですが、積層回数が増えてしまうため時間がかかります。時間がかかれば価格も高くなってしまいます。右の図ではその中間にあたる斜めの造形になります。形状を維持する為のサポート材が必要となりますし、斜めにしたことにより階段のような模様が出来上がります。

このような事から、品質、価格、精度に大きく影響します。

同じ金属3Dプリンターを使用しても同じように出来上がらないのはこのあたりのノウハウが必要になるからです。

スクリーンショット 2015-05-21 10.57.28

サポート材とは

3Dプリンターにはサポート材といわれる副材がつく事が殆どです。金属3Dプリンターでも同じ事で立体造形をするにあたって「オーバーハング部」や宙に浮いてしまうような形状は支える必要があります。

この支えの事を「サポート材」と呼んでいます。

下記の図をご覧下さい。

サポート材

傘の柄のような物を造形しようとすれば、なんの支えもないところに金属を作ろうとします。金属粉末にレーザーを当てれば溶けて固まりますが、支えのないところでは表面張力が発生し溶けた金属は丸くなってしまいます。そこに新たな層の粉を敷けばその丸くなった金属は流れてしまったり、下の粉に潜り込んでしまいますのでそのまま継続してもまともに金属の層を積み上げる事は出来ません。なのでサポート材を付け正しく層を積み上げるようにするのです。

また熱歪みによって造形品の形状が保てませんので、サポート材で形状維持をしています。その場合当然サポート材を除去すれば残留応力によって歪みが発生しますので、除去前にアニール処理で残留応力を解放する必要があります。サポート材は同じ材質で生成されていますので、除去は工具を使用します。

足

これを読めば絶対分かる!「金属3Dプリンター」の本当の姿

話題ばかりが先行して本来の「金属3Dプリンター」の姿が見えてこない場合が多くあります。プリンターを販売しているメーカー様も良い事は伝えてくれますが中々悪いところまでは伝えてくれません。私たちは「金属3Dプリンター」を扱い始めて3年。良いところも悪いところも理解しておりますので、是非本当の姿を皆様に知って頂ければと思います。

金属粉末素材は97%リサイクル?

IMG_1062当初弊社もそのような お話を聞いた記憶があります。溶融していない部分の金属粉末素材はほとんどリサイクルできるはずでしたが・・まず1つ目に私たちの頭の中にはサポート材という項目はよくわかっていませんでした。実際に金属造形をしてみると思ったよりサポート材は付着します。サポート材も同じ金属粉末素材を使用しますので、まずまずの体積を使います。もちろん外したサポート材はリサイクルは出来ません。それよりも想定外だったのはサポート材の隙間に入り込んでいる金属粉末素材です。造形する体積はCAD上で計算できますし、必要な金属素材が何Kg必要かもわかります。しかし・・月末に棚卸しをしてみると・・全く推定残量と実質残量が異なりました・・。

金属造形は基準プレートの上に張り付いた形で出来上がってきますので、造形完了後はワイヤーカットで切り離しを行わなければなりません。ワイヤーカットでは当然水を使用します。サポート材の隙間にある金属粉末素材は当然その際に水分を含み使える状態では無くなります。それらをよくよく計算してみると月に30~40万円ほどの金属粉末素材が無駄になっている事がわかりました。こういうことはやってみないとわからないものですね。

また、当たり前の事ですが金属粉末素材も金属であるが故に酸化します。酸化の度合いによるとは思いますがひどくなれば全部破棄しなくてはいけない事もあります。これではリサイクルどころではないですね。是非、メーカー様にもこのような大事な事は伝えて頂きたいと思います。

サポート材は簡単に取れる?

IMG_1185これも当初は簡単に考えていました。「ニッパーで取れますよ!」今考えてみればそんなはず無いと思ってしまいますが・・同じ素材で出来たサポート材は簡単に取り外す事はできません。特にチタンを造形した時は造形時間よりもサポート材除去のが長くなってしまうのではないかと思ってしまうくらい苦労をします。弊社でも色々な工具を試してみました。ハンマー、ニッパー、ラジペン、プライヤー、リューター、サンダー、ジェットタガネ、エアーニッパー、タガネ、ベビーサンダー。当然サポート材の付き方によってどの工具をチョイスするかは変わるのですが、金属3Dプリンターの技術よりサポート材除去技術がこの仕事の「核」なのではないかと思ってしまうほどのノウハウが必要だと感じます。

サポート材と言われるものは「3Dプリンター」という工法であるが故に必要な副素材になりますが、「金属3Dプリンター」においては熱を逃がしたり、残留応力からの歪みを抑えたりする重要なものです。しかし、付いてほしくない部分にも付いてしまう煩わしいものでもあります。中空形状の中に付いてしまう場合にはどんな工具を駆使しても除去できません。このような要因により「金属3Dプリンター」で造形できないと判断せざるを得ないものが出てくるのです。

3Dプリンターは停止しない!

3Dプリンターという言葉の印象からすると、どうしても今事務所にあるような「プリンター」から連想してしまいます。通常の印刷プリンターを思い浮かべれば1000枚でも2000枚でも停止する事無く動いていてくれます。しいて言えば紙の補充くらいですかね。しかし、「3Dプリンター」って止まる事があるんです。もちろん「金属3Dプリンター」も何らかの原因により停止します。よく起こる現象としては、造形物が僅かに歪み、その歪みが金属粉末素材を敷き詰める工程(リコーティング)の際に引っかかり停止する。一度停止した箇所はまた停止する可能性が大きく、再スタートをしたからといって安心できる物ではありません。造形物が安定するまで人が見ていなくてはならない場合もあるのです。

その他にも「金属3Dプリンター」造形チャンバー内の酸素濃度の低下が起きた場合は停止します。原因はチャンバー内の「Oリング」の劣化や酸素濃度を測定するセンサーの破損です。このような場合はメーカー様に交換してもらうまでは動きません。運が良ければその日の遅くに・・運が悪ければ3日ほど「金属3Dプリンター」を動かす事ができない。交換部品はあらかじめ用意した方が懸命です。

誰でも使える「金属3Dプリンター」?

eosint_m_280_1「3Dプリンター」なんてボタン押しとけば誰でもできるんでしょ?? って思われがちです。そういう私も当初は簡単に考えてしました。しかし、想像を絶する戦いが待っていました。始めた当初はサポート材をどう付けたら良いかを悩みました。ただ単に付けても造形は出来るのですが、あとで除去しなくてなりません。除去工程を知らずしてサポートを付ける事は出来ません。次に起こってきた問題は歪みです。なんてことのない、ただの四角い形を造形しても歪みで剥がれてしまったり・・停止してしまったり・・原因はとにかく推測で考えなくてはなりません。造形をしなおしても同じ現象が起きる場合はもう混乱しかありませんでした。メーカー様に聞いても明確な答えは返ってきません。新しい技術だからこそ、このようなことがあるのでしょうね。

マシニングセンタでも旋盤でもそれぞれのノウハウというのが存在するように、金属3Dプリンターにもノウハウが必要です。買ったらすぐに誰でも同じ物が出来てしまうのは残念ながら「夢」のようなお話です。しかし、金属3Dプリンターがもっと普及しソフトの開発が進めば標準化できる部分も増えてくると思います。

まとめ

金属3Dプリンターは思っているより難しい機械です。しかし、第3の産業革命が起きる要素はいくつかあります。それらを見つけ活用するのが一番良いとは思いますが、残念ながらまだそこまでたどり着いておりません。「設計を変える!」この言葉をキーワードしてご活用頂ければ3Dプリンターの存在価値が大きくなります。まずは自由な発想で設計できれば試作までは完了致しますので、取りかかりの活用として十分かと思います。金属3Dプリンターも悪いところばかりではありません。良い部分を伸ばしこの場合はこの工法という明確な物が近い将来でき上がってくるはずです。それまで少しずつでも金属造形に付いて知って頂ければ思います。

S__18014212

 

 

金属積層造形技術の最前線

弊社では金属積層造形受託サービスが生業となっていますので、毎日が最前線と言えます。

毎回違う形状を造形するので、出来るのか出来ないのかの判断やサポート材の付け方、熱歪みの問題と戦っています。

もちろん、それはノウハウとなり弊社の力になっていくものですが、お客様の満足できる製品を作るにはまだ至っていないと思っています。

本来、金属積層造形技術を用いて複雑な形状を作ったり、3次元水管金型のような空間をつくったりしますが造形後の寸法精度や面粗度は望まれているものとはほど遠いものとなっています。弊社では「EOS」社の「EOSINT M280」「EOSINT M290」を使用していますが、「3D System」社の「PROX 300」という細かな積層ピッチをもってしても同じ事なのです。

では金属積層造形をどのような活用をしたらいいのでしょうか???

欧米を例にとってみますと、医療、航空機のような多品種少量生産には金属積層造形技術が多く使用されるようになってきました。ベルギーではマテリアライズがそのビジネスモデルを成功へと導かれました。またGEも飛行機のエンジンの部品を作り始めました。このように多品種少量生産には金属積層造形技術は向いています。

しかし、ここで注意しなくては行けない事があります。それが・・「設計」です。

欧米では金属積層造形技術を活かす為の設計を勉強しそれを盛り込んだ上で部品を造形します。せっかく金属積層造形をするのに今までと同じ設計では部品を組み合わせたり、では意味がないので一体化や「トポロジー最適化」なども施し、軽量で同強度のものを作り上げています。

弊社お客様の最前線ではまだそのような動きはなく・・いま現状のものを早く作る。という手法に特化しております。

そうなると付加価値は「納期」しか無くなってしまいます。もっと大きな不付加価値を作り上げるには最適設計をする必要があります。

弊社では2013年が日本での金属積層造形元年と位置づけていますが(勝手に・・)、多くの講演やセミナーを開催し日本でも金属積層造形技術が正しく認識され、より高付加価値の製品が生み出されるように願っています。

IMG_6104