異種金属の接合も金属3Dプリンターで可能になる?

S__1654849金属の3Dプリンターは金属粉末にレーザーを照射して溶融させて造形して行きますが、その場合、基準プレートと呼ばれる金属の板の上に溶接しながら造形して行くイメージになります。

例えば、弊社の場合ですと基準プレートはS50Cを使用しておりますが、その上にマルエージング鋼を積み重ねて(積層造形)させていきます。そうするとS50Cにマルエージング鋼がくっついて(溶着)いきます。 “異種金属の接合も金属3Dプリンターで可能になる?” の続きを読む

試行錯誤で金属3Dプリンター技術の基礎

3Dプリンターのイメージは、3D図面があればあとはスタートボタンを押すだけのイメージが非常に強いですが、実は毎日が試行錯誤の繰り返しです。

毎日違う形状を造形していますので、試行錯誤のノウハウは急激に進化するものではありません。失敗して気づく事の方が多いのです。

金属3Dプリンター(粉末積層造形)は造形されている部分は造形が完了するまで見ることができません。粉の中に造形品が埋れて行くからです。

造形が完了して取り出してみたら・・・失敗・・なんてことも日常的に起こります。

造形品を取り出してみたら写真のようにヒビが入っていたり、崩れていたり・・・ということがあります。

長い時間造形をして、高価な材料をたくさん使ってこの結果は正直ショックです。

まずは、この現象がどうして起きているのかを考えなければなりません。現象を目で確認できていないのであくまでも推測からのスタートです。

金属粉末なのか・・レーザーなのか・・面積なのか・・サポート材なのか・・それとも湿度か

色々な要因を潰しながら、再造形をします。が・・お客様の納期はもう決まっているので急いで対策をする必要があるのです。

これらの失敗と成功を繰り返し、ようやく積み上げることができるノウハウが金属3Dプリンターの基礎と言えます。

基礎ができたということは・・次は進化をしなければなりません。

サポート材は取りやすく、熱は逃がしやすく・・金属粉末の管理方法は・・・レーザーの管理は・・などなど

その進化という工程はまだ弊社でも始まったばかりです。

精度よく・・失敗なく・・早く・・安く造形品を提供できる仕組みを毎日積み上げていく必要があります。

積層ピッチとは

3Dプリンターの話の中には「積層ピッチ」という言葉が頻繁に出てきます。この言葉は樹脂の3Dプリンターでも金属の3Dプリンターでも使われます。

一言で言ってしまえば「積層厚み」の事をさしています。

987皆様がよく見る病院での「CT画像」は3Dプリンターにおける「スライスデーター」というものになります。

このスライスデーターを3Dモデルから何ミリでスライスするかによって3Dプリンターでは何ミリで積層していくか・・という事になります。

当然の事ですがこの「積層ピッチ」が細かければ細かいほど形状再現性は高くなります。しかし、時間もかかります。

また技術的な問題がある場合もあり、あまり細かくする事も出来ません。製品の特性によって「積層ピッチ」は変化しますし材質による場合もあります。

金属3Dプリンターでは「熱伝導性」を考慮したりする場合も多いので単純に「積層ピッチ」を変更するのは望ましくありません。もし変更する場合はレーザーの速度や出力に至るまで「積層ピッチ」ごとの調整をする必要がありますし、金属粉末の粒径も変更しなければなりません。

弊社では4種類の金属を3Dプリントしておりますが、チタン64では0.03mm、インコネル718では0.04mm、アルミニウムでは0.03mm、マルエージング鋼では0.05mmという「固定積層ピッチ」として造形をしております。

 

粉末積層造形法とは

粉末積層造形法は、粉末にした材料にレーザー(ビーム)やバインダー(接着成分)を用いて1層づつ固めて造形させていく方法です。微細な粉末材料を造形テーブル(ステージ)上に1層分敷きそれぞれの方法で固め造形し、また更にその上に次の層を造形していき、立体を得るという造形方法です。機種にもよりますが、樹脂や金属、石膏などの材料も粉末積層造形法使用しており、造形スピードとコストパフォーマンスに優れた造形手法です。

弊社の場合ですが、金属も樹脂も粉末積層造形法を使用しています。材料により積層厚みはバラバラです。金属ですとマルエージング鋼の積層厚みは0.05mm。インコネル718は0.04mm。アルミニウム、チタン64は0.03mmとなっていますし、樹脂ですとPA2200、PA3200 GAともに0.1mmになります。積層厚みが細かければ細かいほど時間がかかります。

粉末積層造形法に限った話ではないですが、斜めの形状は正確に言えば階段のような積層跡が残ります。緩やかであればあるほど顕著になりますので注意が必要です。

金属の粉末積層造形法で使用する金属粉は「ガスアトマイズ法」で作られる事が殆どです。「ガスアトマイズ法」で作られた金属粉は製造過程において表面張力で球状になります。粉末積層造形法では球状の粉末でなければ流動性が悪くなるため均一に粉末を敷き詰める事が出来なくなります。

また、粉末積層造形法では湿度も嫌いますので、造形環境には配慮が必要になります。

緩やかな斜め形状での階段現象
緩やかな斜め形状での階段現象

 

金属3Dプリンターとは

パウダーベット方式の金属3Dプリンター
パウダーベット方式の金属3Dプリンター

金属3Dプリンターは、粉末積層造形機の事を指し、パウダーベット方式と、レーザメタルデポジション方式がある。パウダーベット方式では「SLM」(セレクティブレーザーメルティング)というレーザーを熱源とした方法と、EBM(ELECTRON BEAM MELTING)ビームを熱源とした2種類が存在している。その他にレーザーメタルディポジション方式という溶射型の金属3Dプリンターの普及が始まっている。 最近ではAM(アディティブマニュファクチャリング)という言い方をする事が多いですが、一般的には金属3Dプリンターという言葉で理解されている事が多い。

パウダーベット方式では、マルエージング鋼、ステンレス、インコネル、チタン、アルミニウム、コバルトクロムモリブデンなどの材質ができ、レーザーメタルディポジション方式では工具鋼や銅なども出来ると言われている。一般的に細かな再現性を求めるならパウダーベット方式。早さと大きさを求めるならばレーザーメタルディポジション方式を採用する。

 

ダイレクトメタルディポジション方式
ダイレクトメタルディポジション方式

金属3Dプリンターがあれば誰でも簡単に何でも作れると思われがちだが、その範囲は狭い。造形ルールなどがあり、それに当てはまらなければ造形不可となる場合がある。また金属3Dプリンターでの量産は出来ないため、少量多品種、または一品一様生産に用いられ、その多くは試作開発品が占める。しかし、3次元水管を配置した金型への応用などにも用いられ、成形サイクルタイムの向上や品質向上の為の新たな工法としても注目を集めている。

金属3Dプリンターで使用するアルミニウム

どのメーカーの金属3Dプリンターを購入しても造形できる材質はそんなに違いはありません。(金属粉末積層造形法に限る)弊社で使用するアルミニウムも他メーカーと大きく違いのないAl-Si-Mg系合金になっています。近いとされる材料は「AC4C」というアルミニウムになりますので、それらの解説をしてみたいと思います。

Al-Si-Mg系合金

この合金系は前記のAl-Si系合金のSi量を減らして、Mgを少量加えた合金であり、すぐれた鋳造性を維持したまま機械的性質を改善した合金です。主な用途は、エンジン部品、車両部品、船舶用部品などがあげられます。AC4CH合金はAC4C合金の強靱性の向上を意図して不純物の含有を厳しく規制したものであり、自動車用ホイールなど保安的要求が高い部品に多く使用されています。金属3Dプリンターにとっては非常に都合の良い材料とい事でどのメーカーも同じようなアルミニウムになっています。また熱処理合金としてお使いになれるので硬さも魅力の1つになっています。

造形方法

アルミニウムの造形は一般的に非常に難しいものです。他の材料と同様金属粉末素材にレーザーを照射し溶融させる積層造形法ですが、造形雰囲気温度が違います。アルミニウムの場合溶けてから固まるまでの時間が非常に短いため以前はしっかり造形できませんでした。現在では造形雰囲気を200℃まであげる事によりうまく造形できるようになっています。しかし、高さの制限があり140mmを超える製品に関しては200℃での造形ができません。その場合は35℃造形をしますが、200℃造形と比べると若干密度が悪くなります。

サポート除去

アルミニウムでも造形時にはサポート材が必要になります。しかし、他の材料と違い非常に簡単にサポート除去をする事ができます。反面、サポート除去時に製品に傷がついてしまう場合がありますので、仕上時には細心の注意が必要です。アルミニウムは比重が軽いためサポート除去時も空気中に細かな粉末及び削り粉が飛び安いので、マスク着用は必須。また粉塵爆発等の懸念もありますので、十分に換気の行き届く場所での作業が必要になります。

S__2523138

金属積層造形技術の最前線

弊社では金属積層造形受託サービスが生業となっていますので、毎日が最前線と言えます。

毎回違う形状を造形するので、出来るのか出来ないのかの判断やサポート材の付け方、熱歪みの問題と戦っています。

もちろん、それはノウハウとなり弊社の力になっていくものですが、お客様の満足できる製品を作るにはまだ至っていないと思っています。

本来、金属積層造形技術を用いて複雑な形状を作ったり、3次元水管金型のような空間をつくったりしますが造形後の寸法精度や面粗度は望まれているものとはほど遠いものとなっています。弊社では「EOS」社の「EOSINT M280」「EOSINT M290」を使用していますが、「3D System」社の「PROX 300」という細かな積層ピッチをもってしても同じ事なのです。

では金属積層造形をどのような活用をしたらいいのでしょうか???

欧米を例にとってみますと、医療、航空機のような多品種少量生産には金属積層造形技術が多く使用されるようになってきました。ベルギーではマテリアライズがそのビジネスモデルを成功へと導かれました。またGEも飛行機のエンジンの部品を作り始めました。このように多品種少量生産には金属積層造形技術は向いています。

しかし、ここで注意しなくては行けない事があります。それが・・「設計」です。

欧米では金属積層造形技術を活かす為の設計を勉強しそれを盛り込んだ上で部品を造形します。せっかく金属積層造形をするのに今までと同じ設計では部品を組み合わせたり、では意味がないので一体化や「トポロジー最適化」なども施し、軽量で同強度のものを作り上げています。

弊社お客様の最前線ではまだそのような動きはなく・・いま現状のものを早く作る。という手法に特化しております。

そうなると付加価値は「納期」しか無くなってしまいます。もっと大きな不付加価値を作り上げるには最適設計をする必要があります。

弊社では2013年が日本での金属積層造形元年と位置づけていますが(勝手に・・)、多くの講演やセミナーを開催し日本でも金属積層造形技術が正しく認識され、より高付加価値の製品が生み出されるように願っています。

IMG_6104

 

ステンレス SUS316L金属3Dプリンター造形

ステンレスの金属3Dプリンターの要望も非常に多いです。特に関東のお客様からの引き合いが多い傾向です。

ステンレスの種類はSUS316Lですが、この材質は非常に造形に時間がかかります。弊社取り扱い材料の中でも一層辺りの積層厚みが0.02mmと一番小さいのです。

それでもステンレスのご要望が高いのは、納期というアドバンテージが高いからでしょうか。

試作開発部品での錆の懸念からステンレスを選ばれるのでしょうか??その辺りのマーケーティングは機密になって中々弊社でもつかみづらいのが現状です。

錆びない材料と言えばステンレスに行きがちですが、実はマルエージングも錆びにくい材料です。しかもSUS316Lより価格的には抑えられます。しかし、磁性体な為非磁性がご希望ならステンレスをお勧め致します。

使う用途などをご教示頂ければ、材質のご提案もさせて頂きます。

ステンレス金属3Dプリンター

金属ラピッドプロトタイピング試作

ラピッドプロトタイピングrapid prototyping)とは、製品開発で用いられる試作手法であり、文字通り、敏速(rapid)に試作(prototyping)するという意味になります。

金属ラピッドプロトタイピングでは、粉末積層造形法と呼ばれる製造手法が多く用いられます。3DCADデータをスライスし(スライスデーター)そのデーターを造形の元データとして金属粉末材料を積層してレーザーで焼結させ試作品を作成します。意匠性が高いデザインの試作品の製造も可能であることが特徴です。当初は試作品として形状確認のコンセプトモデルやテストが主だったが、寸法精度が向上し、さらに材料特性が向上すると機能モデルとなり、少量生産の実用品の生産も実施されていますし、一部では金型への利用も進んでいます。

製品開発サイクルの短期間化に伴い、試作品の製作の期間も短縮する必要が高まってきましたので最近では試作品の造形が増えております。

特に最近はじめたばかりのアルミの試作品は納期的にも早く、開発サイクル向上に繋がる事から多くの企業様にお問い合わせを頂いております。

以前は樹脂中心にラピッドプロトタイピングの活用がありましたが、最近では金属のラピッドプロトタイピングの活用も進んでいます。

IMG_6104