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圧延材と金属造形品の強度の違い

圧延材と金属造形品の強度の違いについてこの1年研究に取り組んでまいりました。

それは医療機器製造の基礎データーとなるものですが、2材質について強度の試験結果が揃いました。

皆様が思われている金属造形のイメージは弱い・・でしょうか?? それは積層しながら作るという印象から起こるものですよね?

今回は私たちの研究の一端だけをお話しいたします。

弊社が保有する金属3Dプリンターは「EOSINT280」と「EOSINT290」という設備になります。

簡単な金属3Dプリンターの使用を説明すると、造形範囲は250mm×250mm×250mm  400Wのファイバーレーザーが使われております。

今回この研究に取り組むにあたり、一つの懸念事項がありました。それはレーザーのスポット径です。

レーザーを真下に落とした時のスポット径はメーカー(代理店)に調整していただきますが、250mm 時際には中心からなので125mm斜めにレーザーを出した場合スポット径は広がっているのではないか?という事です。虫眼鏡でもわかるように、焦点がズレれば熱が上がりません。レーザーも同じではないか?それが金属造形品に与える影響とはどうなのかを知るために、中心部と辺縁部においての差を見よう。と考えました。

医療機器に限らず、産業部品でも同じですが、中心部分しか使えないとなると大きな問題です。

そこで弊社ではこんな試験を実施してみました。

中心部と辺縁部にそれぞれに縦、横の試験棒を造形してその強度を圧延材と比較するというものです。

試験は引っ張り試験、X線CT、電子顕微鏡観察などです。

残念ながらここでは詳しいデーターを公開いたしませんが、結論から言いますと、中心部で造形したものと辺縁部で造形したものには強度に差が出ることはありませんでした。圧延材との比較ではどの試験棒も圧延材よりも引っ張り強度は高く、横棒、縦棒の差もほとんど見られない結果となっています。

しかし、気になる点もいくつか出ています。一つは延性です。圧延材に対し、金属造形品の延性は1/4ほど。ぶつっと切しまうような線を描きます。強度は強くても延びはない。

そしてもう一つ。金属の結晶構造の違いです。

電子顕微鏡で見ると一目瞭然なんですが、明らかに構造は違います。

試験片0は圧延材 Aは縦試験片、Bは横試験片、Cは辺縁部縦試験片になっています。

圧延材の拡大写真では組織が整っていますが、金属造形品の組織はモタモタした構造になっています。同じ材質であっても、製造の仕方によってこれだけ冶金特性が変わるという事です。

このことから推測される結果も出てきました。実は金属3Dプリンター(メーカー)によってその強度は違うということです。

残念ながら弊社にはEOSしかありませんが、今後協力企業様も交えてこの研究に取り組んで行けたらいいと思います。

それはそれとして、この結果は色々厳しいハードルをもたらしてしまいました。医療機器としての工程登録をしてしまったら、その3Dプリンターでしか認証が通らないということです。

別に金属3Dプリンターで通す場合、また0からデーターを積み上げる必要があるのかも・・と思うとゾッとしますね。

 

 

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